東京、渋谷にあるペルーレストラン。セルリアン東急ホテルの裏側の複雑に入れ組む路地に位置する。各国大使館員御用達のお店であり、テレビ、雑誌で幾度なく取上げられ、さらに太平洋を越えてペルー本国のテレビ番組も取材に訪れたほどだ。
ホテルの裏側の迷路を15分近くさ迷ったあげく、ペルー料理という看板を目にして近づくとインド人風の男性がテラスでくつろいでいた。
その男性にもう店はもう開いているのか聞くと、どうぞ中へと招いてくれた。彼はインド人であるがペルー料理のウェイターでスペイン語も操るのだ。
店内は狭く、レストランというよりはちょっとしたバーのような装いだ。ちょうどランチタイムだったので、ADOBO DE CHANCHO(アドボ・デ・チャンチョ)というランチセットをオーダーした。
このランチセットはペルーの一般家庭で食べるようなフルコースだ。ペルーでは前菜のスープをPRIMERO(プリメーロ)と言い、メインディッシュをSEGUNDO(セグンド)、デザートをPOSTRE(ポストレ)という。
プリメーロ=はじめに セグンド=つぎに という意味であり、ペルー人ははじめにスープを、次にメインディッシュを味わい、最後にデザートで締めるのだ。
というわけで私のもとにスープが届いた。ジャガイモや鶏肉、アスパラ、ブロッコリーなどを混ぜ合わせたというスープは薄緑色だ。カレーのようにとろみがたっぷりとあり、アスパラとブロッコリーの味が特に強く出ていた。このスープの優しいほんのりとした味わいはまるで離乳食のようであり、賛否両論わかれるのではないだろうか。メインが運ばれるまでのお腹を慣らすものであるのだろう。
次に運ばれたのはメインディッシュである、アドボ・デ・チャンチョ。メニュー表には豚スライスのトマトベースソース添えと書かれているので、酸味が利いたソースかと思って味わってみると、トマト特有の酸味など全くしなかった。ビーフシチューのような深みのある味わいで、スプーンを口に運ぶ度に、先ほどまでの味わいがより厚みを増す。甘口であり、ほんのりとアルコールの味がする、旨みたっぷりの重厚な味わいだ。
シェフに聞くと、トマト、ダイコン、にんじん、タマネギ等の野菜と小麦粉でソースのベースをつくり、赤ワインとペルー唐辛子、そしてシアウという中華移民がペルーに広めた中華系ペルーショウユで味を整え、豚肉を煮込んで調理されたものだという。
そのため、肉がとても軟らかく、ソースと見事なまでにとろけ合っている。
辛みが欲しい人はアヒというペルー唐辛子のたれをかけるといいだろう。ウアカタイというブラックミントソースと、チーズ、ニンニクなどを混ぜ合わせてつくられたもので、アドボ・デ・チャンチョの甘み、旨みたっぷりの味をミントが強いアクセントとなり味が引き締まり、すっきりとした味わいになるのである。
デザートはアロス・コンレチェとマサモーラ。マサモーラはペルー産紫とうもろこしベースのレモンとパイナップルで味つけされたゼリーだ。まったくタイプの異なるデザートがひとのデザートとして提供されているのが面白い。
ボリュームたっぷりのランチセットは日替わりで3種類用意されていて、1000円から1200円と大変リーズナブルだ。
「MIRAFLORES」
住所 :東京都渋谷桜丘町28-3
電話 :03-3462-6588
ランチタイム:11:30~15:00
ディナー :18:00~23:00
休日 :元旦
※15:00~18:00の間は店が閉まっているので要注意。
地図